みんなちがってみんないい
NHK連ドラ「スカーレット」
NHK連ドラ「スカーレット」今日は不覚にも泣いてしまいました。
陶芸を導いた大好きな夫の助言を振り切って穴窯に没頭する妻の我儘とその才能への嫉妬心から夫は家を離れます。一人息子の子育てを終え実母を見送った妻は、名声をあげた陶芸では埋められない空虚を、元夫に再会してもうまく伝えられません。
(工房で電気窯を見ている八郎)
喜美子) おう。
八郎) えっ…。
喜美子) おう。
八郎) えっ…?
喜美子) ハチさん呼んでええ?
八郎) えっ?
喜美子) 喜美子呼んで。
八郎) はっ?
喜美子) 喜美子ぉ呼べ。
八郎) あの…。
喜美子) ええやん、もう喜美子呼んで。
八郎) いや…あっ、えっ、あ…あの…。
喜美子) もう普通にいこうや。
八郎) 普通?
喜美子) ハチさん。喜美子。なっ?普通にいこう。
八郎) 何やねんいきなり。
喜美子) せやからな、何やこう…ここ? ここ? よどんでる感じあるやん。
八郎) よどんでる?
喜美子) よどんでるいうか、う~ん…重々しい。
八郎) 重々しい…。
喜美子) ちゃうか、ちゃうな。こう…これ、な…何て言う?え~ほやから…。
八郎) 意識…。
喜美子) えっ?
八郎) 意識し合うてる。
喜美子) そや。意識し合うてるんやな。えっ、うちのこと意識してる?
八郎) そら。
喜美子) 意識してるん?
八郎) いやまあしてへん方がおかしいやろ。
喜美子) うちもしてる。
八郎) おおっ、してるやん。
喜美子) ほななくせ。
八郎) えっ。
喜美子) なっ? 意識し合うてる感じ、はい、なくして。はいはいはいはい。
八郎) いやいや「はいはいはい」いうてそんないきなり…ちょちょちょ…ちょっと、待ってえや。あのな、座る? もう座りましょう。
喜美子) ええ。
八郎) ちょ…もう、ほなもう…えっ何をそんないきなり…。怒ってはるんですか?
喜美子) もう堅苦しいのやめようや。そらいろいろ思うこともあるやろ、うちかてあるわ。いやあるか? ないわ。もう分からん。もう分からんけど、もう何年も前のことやで? いつまでも引きずる年でもないやん。周りに気ぃ遣わせてやで? この前の…この前のあれかてそうや。照子に信作にほんで小池ちゃんもな、もううちらに気ぃ遣てたん分かったやろ?
八郎) 分かった…。
喜美子) そんなん悪いなあ思わんかった?
八郎) 思た…。
喜美子) 武志かてそうやで。気まずいんちゃうんかって聞いてきよった。
八郎) そうなん?
喜美子) ほやからな、普通にしよ。
八郎) ふ…ほな普通てどういうのいう。
喜美子) せやから何回も言うてるやん、ハチさん。喜美子やん。
八郎) 名前?
喜美子) ハチさんはそっからやろ?そっから変えていかんと。
八郎) あ~。
喜美子) 「あ~」やないで? 言うてみ。「喜美子」言うてみ。
八郎) 喜美子。
喜美子) ちゃうなあ。
八郎) もう分からへん…。
喜美子) 何もないねん、もう何もないねん。さっぱりとな? お互い、さばさばいこうや、なっ、分かる? うちできるで。もう手ぇ触っても何ともない。ほら、こんなんもできるで、ほらほら。お~ハチさん久しぶり、おうおうおう、おうおうおう。
(八郎に抱きついた喜美子の顔が真顔になってしまう)
・・・あかん・・・・・歳とった〜。