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新資格「子ども家庭福祉ソーシャルワーカー」案 専門家からは異論

新資格「子ども家庭福祉ソーシャルワーカー」案 専門家からは異論

2021年11月5日 【朝日新聞】

児童虐待による死亡事件が後を絶たないなか、子どもや家庭の支援に携わる人材の専門性を高めようと、厚生労働省は5日、新たな資格「子ども家庭福祉ソーシャルワーカー」の案を有識者らでつくる専門委員会に示した。ただ、国家資格の位置づけでないことなどから反対意見もあり、結論は先送りとなった。

政府は児童虐待への対応強化に向け、児童相談所で働く児童福祉司を2022年度までに2千人増やす計画だ。人数を増やすことと併せ、長年の課題になっているのが専門性の向上で、子どもや家庭福祉の分野で新しい資格をつくることが検討されてきた。

厚労省が示した案では、いずれも国家資格の「社会福祉士」か「精神保健福祉士」を持つ人が、児童虐待への対応や母子保健といった教育課程を終えれば、「子ども家庭福祉ソーシャルワーカー」に原則認定する。認定は民間団体が担う。当面の経過措置として、こうした分野で4年以上の実務経験がある人も、認定されるようにする。

この日の専門委は、新たな資格を国家資格にすることや、社会福祉士などの保有を条件としない独立型の資格とすることを求める委員もおり、紛糾。「国家資格ではないのに子どもに携わる専門職に必要な資格と法律上、本当に位置づけられるのか」という反対論の一方、今の国家資格へ上乗せする形は「採用する側の行政からは(何でもできる)オールマイティーの人材が期待されている」と賛成する声も上がった。資質向上には、短期間で異動する自治体の人事運用の見直しが必要とする意見もあった。

厚労省は来年の通常国会に関連する改正法案の提出をめざしており、年内にも結論をまとめたい考えだ。(久永隆一)

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児相で働く児童福祉司は「社会福祉士」か「精神保健福祉士」が任用されます。どちらも、「児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度(児童・家庭福祉論)」か、「現代の精神保健の課題と支援」でさらっと児童問題に触れるだけで、現代の児童問題を総合的に扱う知見を与えられているとは言えません。任用前の講習では「子ども虐待対応の基本」も1日講義を聞くくらいです。従って、厚労省が言うように専門性を持った職員が必要なのは言うまでもありません。争点になっている、国家資格か否かという問題は現状では大した問題ではないようにも感じます。それよりも、足しげく家庭訪問する職員を増やすことが、虐待の抑止には効果的だと思います。

児童問題は、家族に国家権力が介入して最悪の事態を予防する場合があります。親が子どもを養育するという親権を奪うわけですから、間違いがあってはなりませんが、この間の死亡事件を見ていると親権を奪うのに慎重になったというより、職員や上司がぐずぐずしていて素早く決断できなかったというケースばかりです。家庭内暴力があったなら過去の事でも警察に通報すればいいし、近隣住民が子どもの悲鳴を聞いたなら警察と一緒に自宅に踏み込むべきです。さらに、児童虐待のフットワークを悪くしているのは、都道府県管轄の児相と、市町行政の児童問題を扱う部署の連携がぎくしゃくしていることです。

市町行政の子ども家庭課等の虐待事案担当者は相談の窓口であり、児相に連絡する前捌きのようなことをしています。児相の職員ですら勤務5年で半数以上の職員が他部署に交代していきますが市町も同じようなものです。この職員同士で連携するのですから上手くいかない連携部門も当然出てきます。ケースで上手くいかない理由をお互いに擦り付け合う姿もあります。専門性の問題ではなくお互いの面子の問題だったりします。こうして考えてみると現場のリアル感と霞が関の会議には相当の隔たりを感じます。昨日もスクールカウンセラーが増えているのに不登校が減らない理由はカウンセラーの専門性の問題よりもそもそも学校内の連携ができない風通しの悪さではないかと書きましたが、こちらの専門性論議も同じように思います。